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2025年度魚類学会シンポジウム

2025年度日本魚類学会年会では,以下の3題のシンポジウムを一般公開シンポジウムとして開催します.「国立沖縄自然史博物館構想と魚類の多様性研究」は11月21日(金),「淡水魚類の生態的多様性と種分化-北方性淡水魚類を中心に-」と「水族館の魚類学」は11月24日(月)に開催されます.すべてのシンポジウムはどなたでも無料でご参加いただけます.「水族館の魚類学」はハイブリッド開催となりますが,オンライン参加を希望する場合は事前の申し込みが必要です.下記の詳細に従って申し込みをお願いします.

国立沖縄自然史博物館構想と魚類の多様性研究

日時:
2025年11月21日(金)14:00~17:00
場所:
東京海洋大学品川キャンパス
開催形式:
対面
コンビーナー:
松浦啓一(国立科学博物館)
連絡先:
松浦啓一(国立科学博物館); matsuura[at]kahaku.go.jp([at]を@に変更してください.;問い合わせはメールでお願いします)

【シンポジウムの趣旨】
 魚類を含む生物の多様性研究は自然史科学の一分野であり,研究を行うためには,様々な生物の標本(コレクション)が必要である.そのため,欧米の主だった国々は国立自然史博物館,もしくはそれに相当する規模の自然史博物館を18世紀や19世紀に設立し,自然史科学を推進してきた.魚類の多様性研究も主に自然史博物館で行われ,魚類コレクションも自然史博物館に構築されてきた.
 日本では明治維新後に自然史科学が欧米から導入され,国立大学を拠点として研究が行われてきた.魚類の多様性研究も主に国立大学で行われ,魚類コレクションも国立大学に集積されてきた.しかし,第二次大戦後になると,自然史研究を推進する研究部が国立科学博物館や県立の自然史博物館等に組織され,魚類コレクションが自然史(系)博物館に構築されるようになった.そのため,第二次大戦前の状況と比べると,魚類学を取り巻く状況は改善されたと言える.
 しかし,魚類の多様性研究の現状は楽観できるものではない.重要な魚類コレクションは大学に保管されているが,その管理体制は脆弱であると言わざるを得ない.魚類コレクション構築の担い手となっていた教員が退職すると,最悪の場合,コレクションが廃棄される場合もある.さらに,魚類の多様性研究を担ってきた研究室が学内組織の再編などに伴って,縮小されたり,消滅したりすることもある.国内の自然史(系)博物館は魚類の多様性研究を推進し,コレクションの構築・管理を行っているが,次世代の自然史研究者を再生産する機能を有していない.
 また,東アジア・東南アジアには,欧米の国立自然史博物館に匹敵する自然史研究拠点が存在しないため,生物多様性が世界で最も豊かな地域・海域の研究が不十分な状態になっている.このような状態を改善し,魚類学を含む自然史研究の推進と自然史コレクションの構築,そして,自然史研究者の後継者養成のため,国立自然史博物館を日本に設立する必要がある.2016年に日本学術会議は「国立自然史博物館設立の必要性」という提言を発出し,それを契機として,国立沖縄自然史博物館設立のための設立準備委員会が組織された.本シンポジウムでは,国立自然史博物館設立活動を紹介するとともに,設立候補地である沖縄の魚類多様性研究の現状と発展の道筋を検討することにしたい.

【プログラム】

第一部 趣旨説明(講演5分)

14:00~14:05
松浦啓一(国立科学博物館)

第二部(講演30分+質疑5分)

1. 14:05~14:40
自然史博物館と魚類学
松浦啓一(国立科学博物館)
2. 14:40~15:15
国立沖縄自然史博物館設立活動の現況と今後
岸本健雄((一社)国立沖縄自然史博物館設立準備委員会 代表・東工大名誉教授)
休憩 15:15~15:25
 
3. 15:25~16:00
生物多様性研究から地域の持続的振興まで:沖縄美ら海水族館の多面的アプローチ
佐藤圭一(沖縄美ら島財団)
4. 16:00~16:35
沖縄の魚類多様性研究のこれまでとこれから
小枝圭太(琉球大学)

第三部 総合討論 16:35~17:00

淡水魚類の生態的多様性と種分化-北方性淡水魚類を中心に-

日時:
2025年11月24日(月)9:00~13:00
場所:
東京海洋大学品川キャンパス
コンビーナー:
酒井治己(元水産大学校)・高田啓介(元信州大学理学部)
連絡先:
酒井治己(元水産大学校);hakiretoto4796[at]jcom.home.ne.jp([at]を@に変更してください)

【シンポジウムの趣旨】
 日本産北方性淡水魚類の生態的・遺伝的多様性について,主に種分化に絡めて研究を牽引してこられた後藤 晃博士が,2024年12月に亡くなられた.北大大学院生の頃から研究を進め,北海道大学水産学部に奉職されてから,指導・共同研究を通して多くの方に大きな影響を及ぼし,人材育成に果たした役割は計り知れない.そこで,後藤先生のご指導を受けた教え子を中心に,それぞれの研究対象魚類について先生とともに明らかにした生態や遺伝的多様性の新知見と集団・種分化に関する考えなどを持ち寄り,淡水魚類に関する生態的・遺伝的多様性についての現在の地平と未来の研究可能性について議論し,後藤先生の功績をしのぶ.

【プログラム】

第一部 趣旨説明(講演10分)

1. 09:00~09:10
ソヴィエト連邦崩壊後の北方性淡水魚類研究の現状と展望
高田啓介(元信州大学理学部)

第二部(講演17分+質疑3分)

1. 9:10~9:30
日本産ヤツメウナギ属は5種からなる
酒井治己(元水産大学校)
2. 9:30~9:50
北海道で行われた淡水カジカ類とアメマスの生活史研究
山本祥一郎(水産研究・教育機構水産技術研究所)
3. 9:50~10:10
ウグイ類:回遊,分化,交雑のモデルグループ
渡辺勝敏(京都大学大学院理学研究科)
4. 10:10~10:30
海峡を越えたエゾホトケドジョウ
町田善康(美幌博物館・オホーツク魚類研究会)
休憩 10:30~10:40
 
5. 10:40~11:00
イトヨの自然史を探る:日本の水辺に息づく進化の証
樋口正仁(新潟県水産海洋研究所)
6. 11:00~11:20
日本トミヨ研究史-その多様性の理解を巡って
松本達也(鹿児島大学総合研究博物館)
7. 11:20~11:40
淡水カジカ類の多様化
横山良太(株式会社建設環境研究所)
8. 11:40~12:00
アユカケ(カマキリ)からバイカル・ブチキ始末記
木下 泉(安芸漁業協同組合)

第三部 総合討論 12:00~13:00(コメンテーター講演10分×3+討論30分)0

コメンテーター:
前川光司(北海道大学名誉教授)
西田 睦(東京大学名誉教授)
井口恵一朗(長崎大学客員研究員)

水族館の魚類学

日時:
2025年11月24日(月)13:00~17:30
場所:
東京海洋大学品川キャンパス(ハイブリッド開催;対面参加とZoomを用いたオンライン配信を併用;申し込み方法は下記をご覧ください)
コンビーナー:
猿渡敏郎(東京大学大気海洋研究所)・星野和夫(大分マリーンパレス水族館「うみたまご」)・森俊彰(アクアマリンふくしま)・園山貴之(新江ノ島水族館)・池谷幸樹(世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ)
連絡先:
猿渡敏郎(東京大学大気海洋研究所);TEL: 04-7136-6263;tsaruwat[at]aori.u-tokyo.ac.jp([at]を@に変更してください)

【シンポジウムの趣旨】
 日本国内には,海なし県も含めて70以上の水族館が存在し,世界屈指の飼育技術を有している.飼育に限らず近年,現生シーラカンスの生態調査,板鰓類の繁殖生態の分野などで,世界的な研究成果を上げている園館も存在する.地元の水生生物展示に注力する園館も多く,身近な水辺の監視役として機能している.絶滅危惧種の域外保全に取り組んでいる園館も存在する.このように,水族館は魚類や水生生物の飼育展示を通して,我が国の魚類学の発展に大いに貢献してきた.本シンポジウムでは,魚類の研究機関としての水族館像を示すべく,過去10年ほどの間に水族館が実施してきた様々な研究成果を紹介する.

【プログラム】

13:00~13:05
開催趣旨説明
猿渡敏郎(東京大学大気海洋研究所)
13:05~13:30
「水族館との共同研究」
猿渡敏郎(東京大学大気海洋研究所)
13:30~14:00
「飼育下での繁殖によって得られた研究成果」
園山貴之(新江ノ島水族館)
14:00~14:30
「展示を通して仔稚魚の魅力をいかにして伝えるか」
森 俊彰(アクアマリンふくしま)
14:30~14:40
休憩
14:40~15:10
「コスパも大事、淡水魚類標本の持続的な活用法」
平嶋健太郎(和歌山立自然博物館)
15:10~15:40
「大分県における海水魚類の標本収集活動」
星野和夫(大分マリーンパレス水族館「うみたまご」)
15:40~15:50
休憩
15:50~16:20
「メコンオオナマズの絶食生態」
池谷幸樹(世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ)
16:20~16:50
「インドネシアシーラカンスの生息場所における行動について」
岩田雅光(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)
16:50~17:00
休憩
17:00~17:30
総合討論
17:30
閉会

申し込み方法

 対面で参加を希望される方
 対面で参加を希望される方は,事前参加申し込みの必要はありません.当日参加でも問題ありません.参加人数を把握するために,できれば下記サイトより参加申し込みをお願いいたします.

 オンラインで参加を希望される方
 オンラインで参加される方は事前参加申し込みをお願いいたします.参加申し込みサイトはこちらです.

 事前参加申し込み期間:2025年6月1日(日)~11月3日(月)17:00
 講演要旨集はpdfのみ作成します.事前参加申し込みをされた方には講演要旨集に関する情報を後日メールにてご連絡いたします.対面参加の方で事前に講演要旨集をダウンロードしたい方は,事前参加申し込みをお願いします.