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  木村 清志日本魚類学会会長
木村 清志(三重大学)


 2012年,2013年の日本魚類学会会長を仰せつかりました三重大学の木村清志です.副会長の矢部 衞氏(北海道大学)や幹事の方々,ならびに各委員会委員の皆さま方とともに,魚類生物学の進歩,魚類の多様性の維持・保全,さらにそれらの研究の公表,普及の場として日本魚類学会の発展により一層努めて参りますので,どうぞよろしくお願い申し上げます.
 日本魚類学会は【学会の概要】ページに詳しく紹介されておりますように,魚類学の進歩と普及をはかることを目的として1968年4月に設立されました.現在の会員数は約1300人で,研究成果の発表の場として毎年秋に研究発表やシンポジウムを主体とした年会を各地で開催するとともに,年4回の英文誌−Ichthyological Research,年2回の和文誌−魚類学雑誌を発行しております.
 本年からIchthyological Research冊子体の会員無償配付を中止し,希望者に対する有料配布に変わりました.冊子体を購入される会員の皆さまには新たな経済的負担をかけることになって申し訳ありませんが,健全な学会運営と雑誌の電子化の潮流に伴う処置として,ご了解下さることを願っております.われわれもIchthyological Researchの充実を図るとともに,より一層の国際化,インパクトファクターの上昇に向けて努力して参ります.Ichthyological Researchをもっともっと魅力的な雑誌にしたいと考えております.そのためには,会員の皆さんのすばらしい研究成果を是非ともこの雑誌にご投稿いただき,この雑誌を通じて全世界に公表していただきたいと願っております.そうすれば,必ず本誌のインパクトファクターは上昇すると堅く信じております.
 一方,魚類学雑誌については会員無料配付を継続いたします.本誌は原著論文のみならず,「日本の希少魚類の現状と課題」をシリーズとして掲載を続けるほか会員通信や図書紹介などの記事も多く,会員相互の情報誌としての役割も果たしております.われわれの周りの身近な問題,情報提供も大歓迎ですので,和文誌へのご投稿もどうぞよろしくお願い致します.
 口頭やポスターでの研究発表を行う年会については,2012年は下関(水産大学校担当)で9月21日から24日に,また2013年は宮崎(宮崎大学担当)で開催されます.皆さま,ふるってご参加下さい.そして,すばらしい研究成果をお聞かせ下さい.本当に楽しみにしております.年会の詳細については,学会ホームページに掲載いたしますのでご確認下さい.
 また2013年6月には日本魚類学会が共催する第9回インド・太平洋魚類国際会議が沖縄(沖縄コンベンションセンター)で開催されます.この国際会議には世界中の魚類研究者が出席し,分類学,生態学,遺伝,など魚類についての多くの生物学的分野の研究発表が行われます.こちらの方も,詳細はホームページに掲載されておりますので,多くの方のご参加を期待しております.

 われわれの研究対象である魚は地球上のほとんどすべての水界に生息し,食料として,あるいは趣味の対象として人間の生活に深く結びついております.また,われわれ背骨をもつ動物の先駆けとしてこの地球に誕生し,現在もなお水中の世界で繁栄を極めております.このようにわれわれの身近で生活し,われわれにもなじみの深い魚ですが,彼らのさまざまな生物学的特性については,実はわれわれの知識は非常に少なくて驚かされることがあります.この日本の沿岸でも,実際に何種の魚類が生きているのかについては厳密にはわかっておりませんし,そこでどんな暮らしをしているかについてはまだまだ調べられていないことが非常に多くあります.深海魚についてはなおさらそうですし,圧倒的な種多様性を誇る東南アジア沿岸域の魚については分類学を含めて,未踏の領域がまだまだ多くあります.その一方,われわれの身近で暮らす魚類の中にはわれわれの人間としての活動の結果,その生息地を失い,直接的,間接的に絶滅に追いやった,あるいは追いやっているもの少なからずおります.
 地球上の生きもののことを文字に残す,すなわち記載できるのはわれわれ人間だけにしかできません.われわれが彼らのことを記載しなければ彼らはきわめて少ない確率で化石として残る以外にその存在を記録することができません.魚類学会員の皆さん,またこれから魚類学会員になろうとしている皆さん,魚のことをもっともっと研究し,それを論文にまとめて発表し,全世界に人たちと知識や情報を共有しましょう.もうこれ以上魚については調べることがなくなるまで,がんばりましょう.また,これ以上われわれ人間の手による絶滅を防ぐための研究,啓蒙,活動を進めましょう.
 私はこの学会に育てていただきました.学生の頃よりこの学会に入会し,多くの先生方や先輩の方々から魚類学について非常に多くのことを学びました.今度は私どもが若い次の世代を担う方々を育てる立場になりました.これまでの私がこの学会から受けた御恩を返すためにも,「魚類学会に入ってよかった」と思っていただけるような学会であり続けるように努力いたしますので,どうぞよろしくお願い申し上げます.
2012年1月