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2022年度魚類学会シンポジウム  
ゲノムが拓く魚類表現型多様性研究の新展開:分野横断的自然史研究と今後の展望
What genomics research can tell us about the diversity among fish: integrative natural history research and future perspective
日時:
2022年9月20日(火)9:00―17:00
場所:
大阪公立大学杉本キャンパス
コンビーナー:
三品達平(理研BDR)・山﨑 曜(遺伝研)・小北智之(九州大)

 
【シンポジウムの趣旨】
 さまざまな水環境に生息する魚類はきわめて多様な表現型を示す.少なくない魚類学会員が,この多様性に惹かれ,その実態や創出機構の解明を目指しているだろう.
 魚類の表現型多様性研究は近年のゲノム解析技術の革新によって大きな転換期を迎えている.ゲノム解析コストは年々低下しており,今や自身の研究対象種のゲノム配列決定も容易になってきている.それに伴い一部のモデル生物を対象として発展してきた解析技術が非モデル生物にも適用できる場合も増えてきた.その結果,さまざまな魚類を対象に,興味深い表現型の背景にある進化史を,これまでに無い高い解像度で鮮明に描きだせるようになってきた.例えば,過去の個体数変動や,集団間の移出入や種間交雑の履歴,自然選択の痕跡などを全ゲノムの情報を余さず使って推定することができる.さらに表現型を司る遺伝子や変異を同定すれば,表現型の発生生理メカニズムやその進化過程も推定しうる.今こそ我々が蓄積してきた自然史研究を,分野横断的な発想と新規な技術によって掘り下げる絶好の時期だと言える.  そこで本シンポジウムでは,ユニークな表現型を示すさまざまな魚類を対象に,ゲノム科学・発生・生理・細胞生物学などの発想と技術を駆使した,分野横断的な研究を推し進める研究者が会し,最新の研究成果を紹介する.魚類の表現型多様性研究の今後の展望を議論するとともに,新たな対象種,技術,人脈との出会いの場を提供したい.
 
プログラム

第一部

1. 9:00~9:15
趣旨説明および次世代魚類自然史研究を担う解析技術の紹介
三品達平・山﨑 曜(理研BDR・遺伝研)

第二部:繁殖関連形質の多様性と進化

2. 9:15~9:45
多様な魚類の核ゲノムDNA情報が明らかにした脊椎動物5億年の進化
工樂樹洋(遺伝研)
3. 9:45~10:15
真骨魚類は保存的な卵膜形成と多様化した卵膜形成の機構をあわせもつ
佐野香織 (城西大)
4. 10:15~10:45
フナ属魚類における雌性発生の遺伝基盤から見えた性の進化的制約
三品達平(理研BDR)
5. 11:00~11:30
ゲノム編集で明らかにするスラウェシ島メダカ固有種群における性的二型多様化の原因遺伝子
安齋 賢(東北大)
6. 11:30~12:00
アンドロゲン受容体の重複と機能分化から見る魚類の性的二型形質の多様化
荻野由紀子(九州大)

休憩 12:00~13:00

第三部:環境への適応による多様な表現型の進化

7. 13:00〜13:30
日本列島の地理的特性を活かした海産魚類の交雑帯研究
平瀬祥太朗(東大水実)
8. 13:30~14:00
野生メダカ集団を対象としたエピゲノム解析−消化管長の季節変動に着目して
勝村啓史(北里大)
9. 14:00~14:30
網羅的発現解析とゲノム編集から見えた季節性繁殖の収斂進化を担う鍵遺伝子とその進化
石川麻乃(東大新領域)
10. 14:30~15:00
トゲウオ科魚類における鱗板収斂進化とその原因遺伝子
山﨑 曜(遺伝研)
11. 15:15~15:45
カジカ (Cottus pollux) 種群における遺伝子浸透と高水温適応の関連性
伊藤僚祐(京大院農)
12. 15:45~16:15
日本の非モデル魚を用いた本格的な生態ゲノミクス研究
小北智之(九州大)

第四部:総合討論 16:15~17:00