日本魚類学会 English
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2011年度魚類学会公開シンポジウム
市民公開講座のお知らせ
「身近な魚たちの保全」-水辺の環境教育を考える*

  ■ポスター(PDF)ダウンロード

開催日時: 平成23年(2011年)7月9日(土)13:00~17:00
開催場所: 近畿大学奈良キャンパス 211教室
〒631-8505 奈良県奈良市中町3327-204
近鉄奈良線富雄駅下車バス利用10分
http://nara-kindai.unv.jp/01gakubu/access.html
参加費: 無料
主催: 日本魚類学会
プログラム: 基調講演
1)魚の保全:何を守り何を学ぶのか
後藤 晃(北海道教育大学函館校)
2)魚とりのための覚書き:ルールとマナー
細谷和海(近畿大学)

話題提供 -環境教育の現状と課題-
1)博物館における展開-「うおの会」の活動を例に
前畑政善(神戸学院大学)
2)学校教育に水辺の学習を
中島 淳(福岡県保健環境研究所)
3)地域ぐるみで海辺の生物に親しむ
小早川みどり(九州大学)
4)市民主導による沿岸環境の再生
工藤孝浩(神奈川県水産技術センター)
5)水圏環境教育推進リーダーの育成
佐々木 剛(東京海洋大学)

パネルディスカッション -これからの水辺環境教育-
・司会進行 瀬能 宏(神奈川県立生命の星・地球博物館)
・パネリスト:
工藤孝浩(神奈川県水産技術センター)
佐々木 剛(東京海洋大学)
鈴木寿之(川西緑台高等学校)
中島 淳(福岡県保健環境研究所)
前畑政善(神戸学院大学)
小早川みどり(九州大学)
問い合わせ先: 細谷和海
〒631-8505奈良県奈良市中町3327-204
近畿大学農学部 環境管理学科 水圏生態学研究室
TEL:0742-43-6195/FAX:0742-43-1593
e-mail:hosoya@nara.kindai.ac.jp
  日本魚類学会会長 後藤 晃
* 平成23年度文部科学省科学研究費補助金補助事業
開催趣旨
 温暖化が進行し,地球環境の悪化が進む中で,生物多様性を維持する観点から自然保護・野生生物の保全の必要性は以前にも増して高まりつつある.自然保護・野生生物の保全は,研究者や施策を講じる者だけでなく,一般の人々の活動なしには実現することはできない.一般の人々を巻き込んで自然保護・野生生物の保全活動を推進するためには,生物多様性とは何か,生物多様性がなぜ求められるのかを活動に関わるすべての人々が十分に理解する必要がある.
身近な水辺は自然科学における教材の宝庫であるだけでなく,様々な立場の人々がふれ合うあう人間形成の場であり,漁労や稲作など生活に根ざした歴史的文化が創生されてきた場でもある.しかし,水辺はともすれば危険な場所ととらえられ,忌避される場所でもあった.一方,近年では海辺の潮溜まりや砂浜,里山地域の小川や水田,ため池といった水辺に児童生徒を触れさせて,身近な自然を会得させようとする試みが盛んである.水辺は環境教育の主軸のひとつであるが,外来生物が卓越する都市部の水辺から在来の多様性が残る郊外の水辺まで,身近な水辺といっても生物相は様々であり,活動に参加する人々の年齢層や知識レベルも幅広い.そこでの教育的試みは,生物多様性を守るという理念に立脚していることが望まれ,自然の中に立ち入るためのマナーも必要であるという点で共通している.しかし,今ある水辺の自然の中から何をどのように教材化したらよいのか,水辺環境がもたらすリスクにどう対応するのかなど,実際の教育現場では手探りの状態が続いている.
本シンポジウムでは,はじめに日本の魚類が置かれている現状と保全の試みを紹介し,魚類観察にあたっての基本的なルールや姿勢について概説する.次いで,水辺での環境教育の取り組み事例を紹介する.最後に,次代を担う子供たちに水辺の生物を通して何をどのように伝えるべきか,環境教育の現場では魚類研究者に何が求められているのかを検討する.