日本魚類学会 English
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2004年度日本魚類学会公開シンポジウムのお知らせ  
 
「淡水魚の放流と保全 生物多様性の観点から」
開催趣旨:  我が国では,過去30-40年間,人間活動にともない水辺環境が悪化していく中で,多くの淡水魚が生息場,繁殖場を失うことによって急激に減少し,さらに外来魚の増加,密漁などがこれに拍車をかけています.こうした中,そのひとつの対応策として,近年,国内各地でメダカなどの希少淡水魚の放流が住民団体や学校,行政等により行われてきています.こうした魚類の放流は地域の自然環境保全のためのシンボルとして行われることが多いようですが,かつては利用価値が少ないとされていたこれらの魚類が放流の対象とされている現状は,過去数十年間に私たちの身のまわりの水辺環境がいかに劣化してきたかを象徴的に物語っているようです.
 希少淡水魚の放流は,その生息環境や社会環境が整うなど一定の条件の下では,その種を自然環境下で存続させるための有効な手段の一つであり,また地域の人びとの視点を身の回りの自然環境へと誘う上でも効果的な活動であると言えます.しかし一方で,こうした魚類の放流は,研究者によってこれまでしばしば指摘されてきたように,野生個体群や地域生態系にさまざまな影響を及ぼし,時として当初の意図とは逆の効果を及ぼす危険性をはらんでいます.このような危険性が十分に省みられることの少ない現状の中,これまでの魚類の放流の実態を振り返り,そこから派生する問題を多面的に議論することを通して,研究者と魚類放流に携わる人びとの間で共通の認識を形づくることが今日是非とも必要とされています.
 本シンポジウムは,今日各地で盛んに行われつつある淡水魚の放流に焦点をあて,それに関わるさまざまな課題を抽出し,今後の望ましい放流のあり方を模索しようとするものです.特にメダカをはじめとする希少淡水魚の放流に直接関わっている現場の方をはじめ,放流に関心ある一般市民の方,また身の回りの自然環境保全,生物多様性保全等に関心のある方などいろいろな分野からの多数の参加を歓迎します.
開催日時: 2004年6月19日(土) 午後1時 - 5時
開催場所: 東京海洋大学 大講義室
東京都港区港南4-5-7
http://www.kaiyodai.ac.jp/Japanese/
参加費: 無料(要旨集 300円)
主催: 日本魚類学会
 
  <プログラム>      >>要旨集はこちら(PDF:2540KB)  
 
13:00-13:05   開催にあたって・・・・後藤 晃(自然保護委員会委員長;北海道大学)
13:05-13:10 開催趣旨説明・・・・渡辺勝敏(京都大学)
13:10-14:55 第I部 基調講演
「淡水魚の放流:その現状と保全への課題」
 
1) 希少淡水魚の放流とその問題点:ミヤコタナゴの場合
中村智幸(中央水産研究所)
2) 責任ある種苗放流と内水面の資源管理
原田泰志(三重大学)
3) 保全のための希少魚放流ガイドラインに向けて
森 誠一(岐阜経済大学)
14:55-15:10 質疑応答
15:10-15:30 休 憩
15:30-16:50 第II部 パネルディスカッション
「生物多様性の保全のための放流をめざして」
  コーディネーター:渡辺勝敏(京都大学)
 
パネリスト: 環境教育・市民活動:小澤祥司(環境教育コーディネーター)
  自然保護行政:小林 光(水生生物保全研究会)
  水族館:前畑政善(琵琶湖博物館)
  研究機関:中村智幸(中央水産研究所)・原田泰志(三重大学)・
  森 誠一(岐阜経済大学)・丸山 隆(東京海洋大学)
  質疑応答
  閉会にあたって・・・・・・・・・・・西田 睦(日本魚類学会長;東大海洋研)
 

 
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